杵と臼で搗いたお餅は伸びが良く、お米の香りがして美味しいですよね。搗き立ての温かいお餅の味はまた格別です。
海苔と醤油の磯部巻き、きな粉にお砂糖とお塩を混ぜたきな粉餅、砂糖醬油の甘辛に、あんこに納豆と楽しみは尽きません。ついつい食べ過ぎてしまう事も多いのですが、そんな時は大根を使った辛味餅が一番です。
大根には消化酵素のジアスターゼが含まれているので、食べ過ぎや胃もたれには効果的です。でも、この酵素はすり卸すと汁と一緒に流れ出てしまいます。そこで鬼おろしが活躍します。
鬼おろしって?
「しもつかれ」って聞いたことがありませんか?群馬県や栃木県、茨城県あたりで昔から作られている郷土料理で、新巻鮭の頭と大豆を野菜と一緒に大根おろしと酒粕で煮たものです。この大根おろしを作るのに使われるのが、竹で出来たゴツイ卸し器具、鬼卸しです。
歯が鬼の牙のように大きく尖っている様子から鬼おろしと呼ばれます。普通の卸し金より目が粗く、ザクザクゴロゴロとした大根おろしが作れます。竹は丈夫で熱伝導率が低いので食材の味を損ないません。
繊維を壊し過ぎないので水気が出にくく、栄養分の流出を抑えられます。
鬼おろしで卸した大根の利用
なんといってもシャキシャキした食感と瑞々し美味しさが魅力です。鬼おろしで卸した大根は、そのままお醤油をかけても立派な一品になりますが、鍋に入れてみぞれ鍋にしたり、肉や魚をみぞれ煮にしたりするのも美味しいです。冷たい蕎麦やうどんの薬味にも向いています。
普段大根おろしを添える料理なら何でも合います。消化酵素の働きを期待するなら、焼き魚や、焼き肉、ステーキ、唐揚げなどにもいいですよ。
鬼おろしの使い方
大根を立てて、垂直に歯に当てます。時々大根の向きを変えながら卸すといろんな方向に溝ができて速く卸せます。
歯が尖っていますから、怪我には注意してください。卸すのに力が要るので、手が滑って怪我をすると、結構痛いです。
使い終わったら水でよく洗い、天日に当てて完全に乾かします。
質の良いものを丁寧に手入れして使えば一生物です。来年のお正月は、鬼おろしでお餅を楽しんでみませんか?